睡眠中、呼吸が止まっていませんか?

睡眠時無呼吸症候群(Sleep apnea syndrome:SAS)は、睡眠中に無呼吸または低呼吸の状態が頻回に出現する病態です。発生機序により閉塞性SASと中枢性SASに大別され、多くの患者様は臨床的に閉塞性がよくみられます。扁桃やアデノイド肥大、アレルギー性鼻炎、蓄膿症などが原因で、いびきがひどく無呼吸を起こす場合には閉塞性が疑われます。中枢性では、キアリ奇形など先天的な疾患で呼吸中枢がうまく働いていない場合、睡眠中に無呼吸が起こります。脳からの指令が無くなるため、胸腹部での呼吸振動はありません。
成人では聞きなれた病気ですが、子供では注目されることが少なく、見過ごされていることが多いです。現状、小児の無呼吸症候群は子どもの1%~3%に見られるとの報告がされています。入眠中、よくいびきをかいているようなお子様は要注意です。良い睡眠は成長発達には不可欠なので、ただのいびきと思わず、見過ごさないことが大切です。様子を見る、経過を見るなどと放置はせずに一度小児科に相談してみてください。
睡眠時無呼吸症候群の診断基準は、成人と小児では以下のように異なります
成人の場合
「10秒以上の呼吸停止が、1晩(7時間の睡眠中)に30回以上、または1時間に5回以上ある」とされています。
小児の場合
「無呼吸時間が10秒に至らなくても、2回分の呼吸停止があれば無呼吸と診断できる」とされています。小さなお子様では鼻汁が多いのが原因で横になると呼吸がしずらくなり呼吸が数秒とまるような現象がありますが、この場合の治療は鼻汁を吸引するというものなので、お気軽に鼻汁吸引しにいらしてください。
睡眠時無呼吸症候群の主な症状
下記のようなさまざまな症状があります。
- 大きないびきを繰り返す
- 呼吸が数秒止まる
- 何度も起きてしまう
- せき込む
- 夜尿や寝汗をかく
- 寝起きが悪い
- 幼稚園や学校で居眠りをしてしまう
- イライラして怒りっぽい
- 集中力の低下 など
睡眠時無呼吸症候群主な原因
閉塞性
- 肥満
- アデノイド増殖症
- 扁桃肥大
- アレルギー性鼻炎
中枢性
- 小顎症(顎が小さい)
- 肥満低換気症候群(Pickwick症候群)
- 呼吸調節の未熟性(早産児)
- Chiar(キアリ)i奇形
睡眠時無呼吸症候群の検査

鼻や指にセンサーをつけて、呼吸や血中の酸素の状態などを測定し、睡眠呼吸障害の程度(無呼吸低呼吸指数=Apnea Hypopnea Index:AHI)を算出します。AHIが40以上で眠気などの症状が明らかな場合、精密検査へとうつります。そうなると、入院が必要なため入院施設のある病院に紹介する事があります。
睡眠時無呼吸症候群の治療
鼻閉などが原因である場合は軽度であれば、抗アレルギー剤の内服や点鼻薬で症状緩和し、経過をみていくことがあります。肥満傾向である児に対しては積極的に減量を促します。舌根沈下が原因の場合にはマウスピースで舌を落ち込ませないようにする方法もあります。
それでも改善がない場合には外科的治療を考えます。アデノイド切除術や口蓋扁桃摘出術が挙げられます。