血管腫とは?

血管内皮細胞の過形成(増えすぎてしまう)によって生じた病態で、生後から1歳までに最も多くできる皮膚の良性腫瘍です。見た目がイチゴのように赤いので、いちご状血管腫とも言われています。
生後数週間から目立ち始めて、1歳頃までは大きくなってきますが、その後は7歳くらいまでには赤みが消えてくると言われていますが、放置して経過みている場合には赤みは消えてきますが跡が残ることが稀ではなく30~70%の患者様で跡が残ってしまっていると報告されています。
血管腫の原因
原因はいまだにはっきりとしていませんが、女児、早産、低出生体重児がなりやすいと言われています。
喘息の診断
-
表在型(ひょうざいがた)
皮膚の表面に血管腫が見えているタイプ。
-
深在型(しんざいがた)
皮膚の下に血管腫がもぐり込んでいるタイプ(診断が難しい)。
-
混合型(こんごうがた)
表在と深在の混合。大きくて目立つ。
※参照元:難治性血管腫・血管奇形薬物療法研究班情報サイト
血管腫の経過
出生直後は目立たなくても、生後数週で赤みが出現し、生後数か月にもなると急速に増大してきます(増殖期)。
この増殖期にプロプラノロールという内服の効果がよく発揮できるので、治療として1歳以降はあまり効果が期待できません。そのため、治療期間である6か月間が終わる歳を1歳までとしたいので、生後6か月未満の治療開始をお勧めしています。

※参照元:難治性血管腫・血管奇形薬物療法研究班情報サイト
血管腫の治療
- β遮断薬(プロプラノロール)製品名:ヘマンジオル®シロップ内服
- 色素レーザー治療
- 手術
当院では内服治療で改善を目指します。もともと高血圧や不整脈の治療薬だった歴史ある薬剤のプロプラノロールを内服してもらいます。従来は入院で内服していましたが、治療経験豊富なスタッフで、行き届いた管理のもと、外来で行えるようにしました。心疾患がないか、体重測定、心拍数、Spo2測定、聴診、血圧、血糖値、心電図、心臓超音波の検査をした後、初めは体重あたり1㎎の量からスタート。2時間は院内で血糖測定を30分おきに行いながら異常がないか経過観察します。異常がないなら自宅で内服を継続します。1週間後は2㎎、2週間後には3㎎と増量していき、3㎎で維持量として約6か月内服継続していただきます。効果が少しずつ現れてくるのはだいたい2~3週間後くらいかかります。約6か月間後、治療効果が現れていたら、そこで終了。
まだ病変が大きく残っている場合は、再投与かレーザー治療とします。国内第Ⅲ相臨床試験での調査によると32例中11人の34.4%の割合で再投与が必要だったと報告されています。その内1例がレーザー治療に移行しています。
内服の仕方は1日2回、ミルク哺乳後に飲ませていただきます。低血糖が主な副作用なので、体調不良で哺乳ができていない場合には内服をスキップすることがあります。一回服用を忘れてしまってもその回はスキップし、次の服用まで待って下さい。慌てて飲み忘れた分を飲ませたり、次の回で倍量飲ませるなどはしないでください。
すこし長い治療期間にはなりますが、治療できる時期に少し頑張れば、その後後悔なく過ごせるかもしれません。
まずは、一度お気軽にご相談下さい。
外来での治療計画

約6か月の治療期間での治療経過例
※ヘマンジオル投与経過
